受容体の盛衰

本当は怖くないものを、実態や本質がよくわからないことを含めて、怖がる人がいる。


本当は怖がるようなことではないことだとしたら、好きになれたほうがちょっと世界が広がるように思う。


同様に、本当は嫌うほどのことでもないものを、よく知らないがために嫌ってしまう人もいる。食わず嫌いなんてのも、よく知らないままに嫌っているというか、遠ざける行為だ。


よく知ったうえでも確かに嫌いな部分も残るかもしれないけれど、全貌を知ったときはそのバランスがくつがえるかもしれない。


子供の時は、ビールなんて苦いだけだと僕も思っていたけれど、この物体が大好きな大人は多い。


苦味を受容する感覚器官が、大人になるにつれて減退するらしい。だからビールが美味しく思えるようになるし、子供はピーマンが嫌いなのだと。そんな雑学をどこかで聞いた。


自分が変わることで、ものごとに対する評価は180度変化する。180度で済まなくて、対極を通り越し、360度まわって戻ってくるようなこともある。そんな時には、やっぱりね、なんて確信が生まれ、そのものに対する愛着(もしくは嫌悪)が100倍にもなったような気さえすることもある。


なんとなく怖いもの。


なんとなく好きになれないもの。


そういったものがあるとしたら、


自分がそれらについてまだよく知らないことのあらわれかもしれない。