ジャンプ! 〜飛躍と到達点〜

どんなに情報や技術が蓄積されて、その共有手段が発達したとしても、一人の人間が一生のうちにできることには限りがあります。人間の寿命が昔より延びましたから、その分、総量は増えたのかもしれません。

オリンピックを例に、世界新記録の更新はどんどん難しくなる、といえるのでしょうか。人間の身体能力にも限界があるでしょうから、仮に100メートルを走り切るタイムが9秒、8秒、7秒…とどこまでも更新されるようには思えません。より細かい数値の取り合いになるように思えます。

ひとつの種目に関して、そうやってどんどん熾烈な争いになることを思うと、今までにあまり開拓されていないこと(種目、分野…)にチャレンジする人も出てきそうです。現に「マニアックな世界一」を目指し、打ち立てる人は日々出てきているようにも思えます。

設備や環境を整えたモノ勝ちといいますか、良い道具や最新の技術を「買う」、お金の競い合いみたいになってしまったとしたら、どんなにハイレベルなエンターテイメントになり得ようとも、個人的にはあまり面白くないなぁと思います。「そんな追究のし方があったのか!」とか、「それが原動力になるのか」といった、その人なりの創意工夫だとか、思考や試行の方法・道すじ、精神の根ざすところのユニークさが見てみたい。かじりつくようにテレビを見たりなんかしていれば、じゅうぶん報道されているのかもしれませんけど。

本人の努力や追究の結果、「100メートルを世界一速く走ることができました!」もいいけれど、その過程で本人や周囲が学んだことだとか、「100メートルを世界一速く走る」という結果以外になされた発明・発見・気付きだとかが、ひいてはみんなにとっての財産になるように思います。

(そういう「財産」の蓄積に限界はあるのでしょうか…?)