ハウリング 〜適度な間合い〜

強い主張は、同じ強さで跳ね返されることがあります。もしくは、一見受け入れられたようでいて、まるで本質を見てもらえずに受け流されるかもしれません。


落ち着いた態度でいることで、相手も静観してくれます。じっくり考え合ったり、お互いをちゃんと認識することができます。


考える隙を与えないようにまくし立てたりすることは、本当のことから目をそらさせてしまうでしょう。行動と心はひとつのもである、と考えるならば、まずは行動を落ち着かせることで、心も本当に落ち着いてくることと思います。


欲求や意思は、なにも騒ぎたてることで主張したり実現したりするものではありません。落ち着いているからといって、その態度の持ち主に、欲求や意思がないのとは違います。むしろ、本当に意思の疎通を図ったり、欲求を実現する術を知っているからこそ落ち着いていられるのだと思います。そうしていることで、相手を尊重することにもつながるし、当然おのれ自身のことを尊重してもらえるようになるでしょう。


焦る、急ぐ、怒鳴り散らす、騒ぎたてる。そうした態度の持ち主に、本当に得るべき自由や尊厳を遠ざけて、門を閉ざさせていることに気付いてもらうには、どうしたらよいでしょうか。そういう態度をとられると、こちらもついつい焦ったり、煽られて怒声で応じたくなるようなこともあります。そうなると、ますますお互いを見失うことになるでしょう。騒がしさに騒がしさで応じることは、互いを映す鏡でありながら、ひどくくもってしまって、まるで見えない鏡です。


どんな怒声にも、どうにかこちらは落ち着いて応じたいものです。そうしていることで、次第に騒ぎたてているのがどちらなのかが際立って、本人が自ら気付いて落ち着いていくというのが理想的です。


それにしてもまず、そうしたまくし立てるような態度をとられると、反射的に心がざわつくのをどうにかできないものかと思います。自分に備わったまっとうな防御反応なのかもしれませんが、驚き、うろたえ、行動や言動が揺らぎがちになりそうした態度が相手にも響いてしまいます。負のフィードバックの連鎖です。


壁の前で怒鳴ったら、自分の耳を殴るように反響するでしょう。騒ぎたてられて心が揺らいだら、とにかくまずは、相手と物理的に距離をとること。これを当面の有効な対策として、ひとまず結んでおきましょう。