ロングセラー商品のアイデンティティ

ロングセラーのお菓子とか飲み物とか、「お馴染み」のものがありますね。「これこれ!」と、パッケージを一目見て認識できます。

食べたり飲んだりすれば、やはり美味い。変わらない味というか、安定のうまさ。でも実はそれは、変わり続ける僕らに「変わらない」や「安定の」を感じさせる、作り手側の工夫が含まれていることと思います。

味ももちろんですが、一目見てわかるパッケージやロゴデザインも、微妙な変化や修正を経ていたりします。昔から今までのものを横並びに比べる機会があると、その変化の歴史・変遷を観察できます。食品や飲料の保存には限界がありますから、「味」という側面については、時代を飛び越えて一斉に比べる機会というのはなかなか稀ですが…。

自分にも、長持ちしている「何か」があることと思います。ロングセラー商品の「変わらない(ように思わせる)味」みたいなものが、あるのではないかと。時代も変わるし、自分も変わります。移ろい続けているはずですが、「保たれ続けている(そのように見える)」何かが、その人のアイデンティティ、その人を定義づける何かなのではないかと思います。

ときに人は、何かに傾倒します。ずーっと傾倒し続けたら、もはや「傾き」でも「倒れ」でもなく、そのスタンスこそが「正位」です。その時その時の自分の立ち位置によって、自分を保ちやすい「傾き」があるのかもしれません。いつしか「傾き」本位で周囲の世界を観察するようになり、自分の立ち位置が変わっても「傾き」が同じになるように(「保たれる」かのように)立ち回ることさえ、あるように思います。

そうした「傾倒」と「正位」のすり替わりるところに、ロングセラー商品があり、「我」もまた、それに同じ。