スナックチキン

最近、めっきり揚げものを食べなくなりました。もちろん、まったく食べないわけではありません。たまに食べます。


実家で暮らしていた、未成年時代はよく食べた記憶があります。母親がつくってくれたエビや豚肉のカツなんかをよく食べていました。


鶏モモ肉のスタンダードなカラアゲも食べていましたし、小ぶりな骨付き肉のものも食べいてました。これは、肉が外れやすく、ひとくちふたくちではむはむっと食べやすいので、わたしは気に入っていました。これの我が家での通称は「スナックチキン」でした。揚げるだけでよいように味付けされた商品の名前とかだったのか、呼び始めた母親がじぶんでつけた名前だったのかはわかりません。実家では食品を生協で購入していた時代もあったので、やはりそのときの商品の名前からとって、ずっと呼び続けたのかもしれません。


カラアゲといえば、弁当の定番でもありました。揚げたてとは違った魅力があります。しっとりした口当たりが、かえって良いのです。揚げたての魅力といえば、あのサクッとしたかるい歯ざわりが大きいかもしれませんが、危険なレベルの熱い油がジュワッとあふれ出て、そこがデメリットと紙一重でもあります。弁当のカラアゲの油は肉によく馴染んでおり、敷かれたキッチンペーパーにほどよく吸収されてりなんかして、がぶりと勢いよくイクことができます。本能のままにかぶりつき、白ごはんをかっ込む、昼休み。その幸せと来たら、1日の真ん中を支える、中高生のエネルギーとモチベーションの大黒柱です。弁当箱にみちっと詰め込まれた白ごはんの密度と、常温のひゃっこさも併せて思い出します。


鶏肉は豚や牛と比べるとリッチさに欠けるイメージがあるかもしれませんが、カラアゲはちょっと違ったベクトルの別格さがあるかもしれません。フライ級日本チャンピオンって感じでしょうか。弁当箱、家庭の食卓の平皿、同好者のパーティや打ち上げの輪の中心でそのフットワークと手数を発揮しています。お高めのレストラン、高級割烹なんかで大事なお客との会食や恋人とのハレの日をシッポリ……なんてときには、やはり牛とか高級魚とかがマッチするのでしょうね。


揚げるというのは、大衆的なごちそうを量産できるすぐれた調理法なのでしょう。「中の上」をいく感ありますね。


お読みいただき、ありがとうございました。