うずら。

うちの下の息子(10か月)が、つかまり立ちをするようになってだいぶ経ちます。


うちのキッチンには、電気ケトルがあります。


そいつを、大人の股下くらいの高さの台の上に置いて、キッチンで使っていました。


でも最近、そいつに下の息子の手が届くようになってしまったのです。


それで、キッチンシンクの上に置いて電気ケトルを使うようになりました。


最初のうちは、小さき怪獣(下の息子)がキッチンへ這いずりやって来たときだけイソイソと電気ケトルを移動させて彼の手の届かないところへやっていたのですが、最近、その頻度も多くなり、ついにはキッチンシンクの上が電気ケトルの定位置になってしまいました。作業をするのに、結構邪魔です。まぁ、気にしない。だから定位置になったのです。


でも、なんだか、キッチンの、ミキサーとかミルとかの電気機器を使うことを想定してつけられているであろうコンセント差し込み口に、我が家としては別の定位置があったはずの電気ケトルのコンセントが差し込まれている様子をみて、あるとき、ふと、「ああ、おれは今、息子の成長をみている」と思ったのです。「電気ケトルのコンセントがキッチン上のコンセント差し込み口に差さっている様子」をみて、ですよ。


なんかそのとき、ああ、ものごとを違う側面からみることのひとつの良い例だなと思ったのです。


こういう視点の移動ととらえ直しに優れた人って、ものを書いたり作ったり表現したりする人に結構いらっしゃるんじゃないかと思っていて、そうした人たちにとっては、今私がこうして書きつづっている発見のひとつなどあまりに小さいことかもしれませんが、私はそんなミクロな気付きのひとつでも、感じられたそのことがとても大事に思えて、こうしてうずらの卵をなで回すみたいにしてここに書き残しているのです。


うずら。


お読みいただき、ありがとうございました。