厳寒と猛暑

金曜日の夜、めずらしく遅くまで仕事をしました。そのあとで、自転車に乗って街を縦断しました。縛り付けられるかのような寒さ。あれ、今の季節ってこんなに寒かったっけ? おれがガラになくいつもと違う時間まで仕事なんかして、帰る時間がいつもと違って遅い時間になったからこんなにいつもより寒く感じるの? この時期でも、これくらいの時間になるともうこんな寒いって、おれが気づいてなかっただけなのかな? などと思いました。時刻は午後930分をまわったところでした。


妻が子どもたちを連れて実家へ帰省中です。長野県の松本ですが、そちらも寒いようです。きっと、もっと寒いでしょうね、こちら、東京よりも。


暑いのと寒いの、どちらが得意とか苦手とかいう話題は万人を巻き込むのにどれだけいいのか、世にある問いの中では比較的遭遇する確率が高いものでしょう。その問いに出会うたびに、私は答えに悩んでしまいます。どっちがどうってこともない。暑さ寒さが厳しければ、それなりに過ごします。厳しくなくても、それなりですけれど。


からだを動かせば、冬でもちゃんと温かくなります。温かさを通り越して暑くなったら、しばらく上着を脱いで半袖で過ごします。その身なりを、周りの人によくつっこまれます。そのたびに私は「今だけですよ」と言います。いまちょうど、自転車をつかってからだを動かしてこちらへたどり着いたところなので、今だけ暑いのですなどと説明します。録音しておいて、次に聞かれたらその音声を再生しようかとでも思うほど、同じ説明をこれまでに何度もしています。


夏は、からだを動かしてどこかへたどり着くと、すぐに汗が出始め、シャツにしみ出します。これは、冬ではあまり見られないことです。パタパタとそのへんにある広い面を持った、ある程度の硬さと弾力をそなえた事務用品とかで自分をあおぐことになります。うちわがあればベストです。冷房ギンギンの場所にたどり着いたときは、パタパタ扇ぐ必要もなく早く汗が収まってありがたいのですが、そこに居続けるとすぐに冷えてしまい、夏なのにからだが骨まで冷えたような感覚を味わうこともあります。


すぐ暑くなりやすく、すぐ寒くなりやすい。それが私なので、夏の暑さと冬の寒さ、どちらがうんぬんと訊かれるといつも困ってしまいます。夏に汗をずんずこかきまくるのはサウナみたいで気持ちがいいですが、その場で着替えられない制約があるときは、汗をかくのを不快に感じる場合もあります。冬のほうが、衣服が汗で湿ることにまつわる悩みは少なくなります。


暑さも寒さも、ある程度以上になると、屋外に鼻先を突き出した瞬間に「危険なレベルだな」などと思うことがあります。その程度以上になると、自分にとって遠ざけたいものになります。


いつも、ほどほどでちょうどいいくらいが理想かとも思いますが、あんまりに寒いと「あんまりに寒いね」などと他の人と言い合えますし、あんまりの寒さや暑さがあるからこそ、ちょうどよさのありがたさが増して思えるふしもある。


厳しい寒さや暑さが、一緒に連れて来てくれるものもあるのでしょう。


お読みいただき、ありがとうございました。