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在宅かどうか以前に

生涯学習ということばが流行った年代があったかと思います。学びとは、一生するものなのだという考えが根底にあるのかもしれません。


家でできる種類の仕事についている人と、そうでない人がいると思います。外を動きまわることが好ましくない状況において、家では成り立たない種類の仕事についている人が、それでも家で少しでも仕事に関わる活動をするとなった場合、何ができるでしょうか。


思いつくのは、自己学習です。本を読む。資料をあさる。(そもそもまず、その「読む本」やら「資料」やらを探して調達するところから始めなきゃならないかもしれません。)知識をつけたり、人の考察を読んだりして、自分の考察を深めるのです。自分の仕事に関わる分野にこだわる必要もなくて、むしろ普段接する機会の少ないような、遠い分野にまつわるお話や資料に視線を注ぐのもいいかもしれません。


すべて、ネット上でその調達をしなけりゃ外出することになってしまいます。図書館も閉まりました。家にすでにあって、「積ん読」になっている本が潤沢な人は、「積ん読本」を回転させるいい機会かもしれません。家に資料が無い、あるいは家で資料を注文しても経費で落ちないし自腹で出す余裕もないという場合もあるでしょう。もともと可処分所得(?)の多くを本か漫画につかってしまうような私はさておき。家で少しでも仕事に関わる活動をする、そのハードルの高い低いのバラツキはどうしても人によってありそうです。それも、場合によってはかなりの落差で。


「医療や社会機能維持に関わる仕事の人の子ども以外は、もう預かれません」


私の子どもの通う保育園が、私や妻に出してきた「強いお願い」。その主旨はおおよそそんなところだと、私は受け取りました。それで、ここ数日、いよいよ私の子どもたちもずっと家で過ごすようになりました。私も可能なだけ家にいる時間を増やしました。


読んだらそれだけ、書くことをするといいと思います。音楽を聴いたら、じぶんでも鳴らしてみる。笑いをもらったら、笑いをもたらしたい。その全部を、家で、どこまでできるか。こういう状況であっても、そうでなくでも、大事なことと向き合って大きくする機会にしたいです。


今の状況で好ましいことが、いついかなる状況でも好ましいかどうかわかりませんけれど、そうしたものがないとも限りません。これまでもそれを探して、近づいて、試し続けてきました。何も今に始まったことじゃないと。



お読みいただき。ありがとうございました。



青沼詩郎