ライオンの大あくび

僕はには息子がいます。彼は先日2歳になりました。僕にとって「かわいい」と思える存在です。

ところで、男の子の親である何人かから聞き及んでいることがあります。それは、「男の子は何歳になってもかわいい」ということです。高校生のお子さんがいるという親の方からは、「中学生になってもかわいいし、高校生になってもかわいい」と聞きましたし、また別の親の方からは、「もう成人しているけれど、かわいい」とも聞きました。

たとえば僕が、その親たちの息子さんに会ったとします。彼らは、もう高校生だったり、成人していたりするわけです。僕は、彼らが幼い子どもだった頃を知りません。そんな僕が、彼らを「かわいい」と思うでしょうか。きっと、まずは「ひとりの男」として僕の目に映るでしょう。話をしたり、関係を築いたりすれば、その人となりの「かわいさ」に気付いたりすることはあるでしょうけれど。

そんな彼らも、たとえばたくさんの同級生たちが共に過ごす学校の中だったり、成人して巣立っていった先では、またそれぞれに独自の存在なわけです。ときに「頼れる存在」だったり、ときに「おっちょこちょいな奴」だったりするかもしれません。誰かの「部下」かもしれませんし、「上司」かもしれません。また、誰かの「想い人」かもしれませんし、誰かを「想う人」かもしれません。

そして彼らは、何歳になっても、その親たちにとっての「かわいい息子」であるわけです。ひげの生えたおじさんになっても、頭髪が薄くなっても、それは変わらないのかもしれません。

僕の息子は、まだ2歳です。そこまでの姿しか知りません。彼が成長して「男」になったとき、僕は彼についてどんなことを思っているんだろう。やっぱりいくつになっても、「かわいい」んだろうか。

ところで、31歳のちょっとしたおじさんである僕も、その母親にとっては「息子」なわけで、果たして「かわいい」のかどうかは知りませんけれど…あまり詮索しないでおきたいと思います。

ライオンの成獣があくびをしている姿なんかは、はたから見ているぶんには、かわいく見えなくもない。