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どんな名曲も、最初はだれも知らなかったんですよね。作った人しか。作ってすぐさま、これはすごいぞとその人は思ったでしょうか。それとも、ふっと息をもらすみたいに何気なくつくったその気持ちのままだったでしょうか。のちに長い時間にわたって多くの人に親しまれる未来を想像してか、せずにか。ビートルズの『イエスタデイ』は、眠っていたポールの頭の中に流れたメロディだというような逸話を聞きますが、その曲の未来をポールは当初、どう思ったのでしょうね。


世界的なヒットになるかどうかなんて関係なく、無名の作曲趣味人のつくったものだって、生まれたそのときには、つくったその人しか知りません(公開でつくれば別ですが)。その後もずっと、そのまま無名のままもしれません(無名といったって、つくったその人がつけたタイトルがあるかもしれませんけれど)。


映画に登場する主人公にもいろいろいますね。じぶんを重ねて、ファインダーを覗くような気持ちで物語を追体験できるタイプのものもあれば、エキセントリックでずば抜けているものもある。物語のなかで成長や進化をみせ、変化するものもあります。


僕はじぶんがシャイなので、物語の主人公がちょっと奥手だったり、しゃしゃり出ずに一歩引きがちだったり、平凡だったり地味だったり、冒険や刺激にたじろぐ慎重さを持っていたり、理想と現実の違いに葛藤を抱いてもいるがそれを前面には出せずにいるといった要素があったりすると、じぶんを重ねてファインダー越しに観るような気持ちになれるかもしれません。


観たい映画がいろいろある最近ですが、そのぜんぶはなかなか観られません。いえ、なにを差し置いてでも観ようと時間をつくりさえすればその限りでもないのでしょうけれど、なかなかそこまで突き抜けられもせずほら、ねぇ? 平凡でしょう?


お読みいただき、ありがとうございました。