Sugoroku

そしてふりだしにもどる


どこかを目指して行くのです。あるいは、どこかを目指すなんてしないでも出かけるのです。で、ここがゴールかななんて思う場所に着くのです。あるいは、そこがゴールだなんて気はしないけれど、ふうっとひと息ついてしまう瞬間が訪れるのです。そこに至ったかと思ったら、そこがまたスタート地点だということに気付くのです。句読点。息継ぎ。中継基地。そんなようなものかもしれません。



「興味持ち」精神


企画を出すって、どんな仕事にでもついてまわるんじゃないでしょうか。企画なんて出さずにひたすらに言われた通りの単純作業をこなせばいい、ただそれだけの仕事ももちろんあるかもしれません。程度問題で、それがある程度複雑な作業であるケースもあるでしょう。企画を出すというのが主な仕事だ、という立ち位置の人もいるかもしれません。でも、企画を出して何かやりはじめるというのは、あらゆる人に認められたことなんじゃないのかなと思います。別に、ビジネスとして成立していることが必須条件だなんてこともないわけです。何かしたい、やりたいという微熱を持った、そんなことが動機になって何かをやり始めることだってあるでしょう。そこにビジネスとしての勝算の有無なんてものは、不用意に絡ませなくていい。絡ませることで、その動機が押し出した運動の方向がちとおかしくなる、こともあるかもしれません。ビジネスとしての勝算を同時に満たすようにうまく舵取りしてやることがかなわないとも限らないので、それはうまく器用にやれるのなら、それに越したことはないとも思います。



卒論の編集


いろいろなものに出会って、いろんなことを感じます。感心したり感動したりもします。そういうものを動機にして、自分も何かやり始めるというのもいいでしょう。でも、なんでもかんでもはやれない。すぐに夜になってしまいます。で、朝になってしまいます。しっかりやりたいことをやって、その上で十分に眠れたそんな昼と夜と朝の組み合わせを得られる日というのは、なまじ奇跡のようなものかもしれません。私はそのどこかに不満や不足を抱いたままの日を、いったいこれまでにいくつ迎えたことか、なんて思います。


なんでもはできない。だから、選ぶしかありません。その判断を迫られます。いえ、永遠に保留でもかまわないのかもしれません。けれど、やれたこと、「ここからここまで」というのを人に伝えられる形にすること。それをしないと、見た目上は何もなかったことになってしまいます。事実としては「なんにもなかった」なんてことはありえなくても、人から見て分かるように、その存在を認知できる形になっていなかったら、「何もなかった」と見なされてしまうのです。だから、私は、ときどき、人生において、「卒論」みたいなものを仕上げなければならない。あれもこれもという風にやって、それらの分別を曖昧にしたままでいることは許されない。境目を決めなきゃならないのです。その必要がある。たまに、締め切りがやってくるのです。誰に迫られたのでもない締め切りが。私から私への、課題の提出日が。


その取り組みのテーマを決めることは、ときに苦しみを伴います。だって、あれやこれやは切り捨てることになるのですから。焦点を絞って、何かを選び取らないことにはテーマは決まりません。何かに「いいな」と思うほどに、その対象が増えるほどに、編集するというプロセスが生まれてきます。それをしないと、なかったことになってしまう。私の生きた事実さえも。ときおり、そんな不安が焦げ広がる気がするのです。



みんなをゴキゲンにすることとの乖離


自分のやりたいことを気のおもむくままにやったとしても、それが、他の人をゴキゲンにさせる興行になるとは限りません。私は、ときに、ひどく独善的な公演をしてしまう。それがまぁ無害で、「勝手に何かやってらっしゃる人がいるなぁ」程度にスルーできることならばまだしも、他の人に迷惑をかけてしまっていたらしょうもありません。「しょうもない」とはとても曖昧。「しょうもない」としか言いようのないもの。いえ、ちゃんと考えれば、そこを明言できるはずとも思います。「考えが及んでいない」、「明日やろう」的な怠慢の存在を示しているのかもしれません。「無害」も「無関係」もあり得ない。何事も、必ず何かに影響しているし、何かが変化している。そう思うのもまた私です。



そしてふりだしにもどる


どこかを目指して行くのです。あるいは、どこかを目指すなんてしないでも出かけるのです。で、ここがゴールかな、なんて思う場所に着くのです。あるいは、そこがゴールだなんて気はしないけれど、ふうっとひと息ついてしまう瞬間が訪れるのです。そこに至ったかと思ったら、そこがまたスタート地点だということに気付くのです。句読点。息継ぎ。中継基地。そんなようなものをいくつもいくつも、経由しながら。




お読みいただき、ありがとうございました。