境内に風

なんだかんだ、今年はまだ初詣に行っていません。特別、神仏に対して信心があるというほどのこともありません。ただ、習慣として、仲間だとか家族だとかで、なんとなくお参りに行くという風習が私にも人並みに? あったのは確かです。


中学や高校生くらいの頃には、友達と、夜更かしして遅くまで出歩いて良い特別な楽しい日、というのが私にとっての大晦日でした。地元の神社の境内へ行って、おまつりじみた雰囲気を楽しんでいました。夏祭りとちがって、盆踊りとかイベントステージとかそういったものがないのが、大晦日のいいところです。(そういうイベントをやっている大晦日もあることと思いますけれど。)にぎわっているけれど、どこか、粛々と新年を迎える瞬間へ流れて行くあの時空間がなんとなく好きでした。


大人になって、バンドをやるようになって、大晦日はライブハウスのカウントダウンイベントに出演して過ごすようになってからは、午前2時くらいにイベントの演奏タイムが終了した頃に、吉祥寺の八幡神社にバンド仲間と出かけていってお参りする、というのが何年間かのお決まりになっていました。寒い寒い言いつつ甘酒を買って飲みながら参列の中に立ってミュージシャンたちと話をするでもなく話をして、お参りをして、飲み続けたい人はそこらで飲み続ける、帰りたい人は帰る。そのまま別の場所でやってるイベントに向かって出発するなんて強者もいました。そんな流れの大晦日と元日にまたがった習わしを持ってもいました。


大晦日だとか関係なく、よく出演していたライブハウスの中には最近あんまり出なくなったものがあります。でもほかのところで相変わらず音楽活動は続けているというのが近年の私です。カウントダウンイベントへの出演を打診されることもなく、大晦日にいそいそと出かけて行って何かをするということもあまりなくなり、その機会に初詣をしない=そのままうやむやになって初詣そのものをしない、というのが近年のありがちなパターンです。現状、今年もそのパターンに当てはまっています。いえ、まだ、これから参る可能性がないわけでもないのですけどね。


信じる、ということを信じすぎずに付き合っているという感じでしょうかね。数多ある人間のならわしのひとつとして、無視せず、のぼせず。風が吹く空間を残したくらいの距離感がちょうど良いのでしょう。


お読みいただき、ありがとうございました。