(No) Staying Home

家の近くの最寄り駅、その駅ビルの食品を売る店。そこが、いつも以上の人出だったと聞きます。いつもならひとつ買うところの商品を、ふたつもみっつも買っているような様子の人の姿も多く見えたとか。


緊急事態宣言が出ました。けれど、街の姿はあまり変わらないという話が、ネットニュースや人づてに聞こえてきます。都心も、働く人の行き交う姿がいつも通りにあるといったニュアンスで報じるWeb記事が見つかります。平時との違いといえば、マスクをしている人が明らかに多いことくらいでしょうか。緊急事態宣言が出されても、相変わらず、その必要があって(あるいはなくても?)動く人が多いのでしょう。


職場で、仕事をする自分たち自身の出勤による外出を控えるための特別な措置はまだないという人、多いのではないでしょうか。じぶんから休暇を願い出るとか、給料を放棄して仕事のシフトを抜くとかいった、個人の方針を強く打ち出した特別なアクションをしない限りは、通常どおりなのです。国の緊急事態宣言を受けて、(例えば私も住んでいる)東京都はどうするのかという決定が打ち出されるのとに時差があるがために、まだそういった潮目の変化がないのかもしれません。その人の仕事の種類が、自粛要請の対象から外れると単にそういうことなのかもしれません。人命や社会機能の維持を左右する仕事の人が実際にいると同時に、そうでない仕事の人も実際多いでしょう。街の人出の量が減らないのは、仕事がなくなってしまって買い出しなどのために街に出てきた人や、緊急事態宣言が出ようが出まいが相変わらず仕事があってそこに出て行く人が相当にいるということなのだと思います。


乳幼児が私のうちには2人いるのですが、近々、医療従事者や社会機能維持に関わる仕事の人以外のこどもはご家庭で見ていただくようにお願いします、ということになると聞きました。保育してもらえないこどもの親は、なんとかしてこどもをみてくれるつてを探して頼るか、保障なしに仕事と報酬の両方をあきらめたうえで自分自身がこどもと家にいるか、ということになるのでしょうか。仕事をすれば得られた収入がなければ生活していけない、家にいるための家賃や光熱費も払えず、食料も買えず、という人はどうなるのか生活保護を願い出るのか、国からの貸し付けがあるのか? 何かしらの給付、援助があるのか。


ネットに接続する習慣のある私の目に、Stay Home の文字が毎度飛び込んできます。ステイング・ホームしないのは、その人の意識が低いからだなんてことは私には言えません。それでいて、自分の大切な人が、去年なら助かったようなことが原因で死ぬかもしれないし、自分自身がそうなるかもしれない。そういう危機にあることも承知しています。


この手には、ウイルスがついている常にそのつもりで手を洗う。



お読みいただき、ありがとうございました。



青沼詩郎